国土交通省は、建築現場にICTを活用し生産性向上を目的とした「i-Construction(アイ・コンストラクション)」の導入を進めています。「i-Construction」の導入により、ICT技術の活用を中心として規格の標準化、施行時期の標準化などを実現させ、建設現場の生産性を2025年度までに2割向上させることを目指しています。建築業界の生産性向上を目指しています。
本記事では、建設業界において生産性の向上に役立つ「i-Construction」の意味、「i-Construction」を支えているとされる3つの柱、推奨される背景を踏まえた上で、「i-Construction」導入のメリットについて解説をしていきます。
i-Constructionとは?
i-Constructionとは、国交省が推進している生産性革命プロジェクトのうちの一つであり、建設現場にICTを活用して生産性の向上を目指す取り組みのことです。ICTとは「Information and Communication Technology」の略称であり、情報通信技術のことを意味しています。
国土交通省は、労働者不足などの問題を抱えている建築業の活性化を目的として、「インフラの整備・管理・機能や産業の高度化に向けた活動を多く行っています。「i-Construction」は、その取り組みの一つです。
i-Constructionを測量、設計、施工、検査、維持管理などすべての事業プロセスで導入することで、コンピューターやネットワークなどの新しい技術を取り入れることが可能となり、建設生産システム全体の生産性を向上させることが可能となります。

i-Constructionを支える3つの柱とは?
建設業において生産性向上を目指す取り組みである「i-Construction」には、事業プロセスで導入する際に、情報化を最適化するための3本柱が定められています。
まずは「i-Construction」のビジョンで提唱されている3本柱について、それぞれ詳しく解説します。
ICTの全面的な活用
i-Constructionでは、調査、設計、施工、検査、維持管理、更新など建設事業全てのプロセスにおいてICT技術を導入する「ICTの全面的な活用」を提唱しています。たとえば調査、測量、設計、施工などあらゆる建設生産プロセスにおいて、ICT 建機による3次元データを活用することで、自動化・ロボット化による生産性向上が可能となります。さらにすべてのプロセスをデータで管理できるようになり、建設生産システム全体を見通した施工計画、管理が実現します。
規格の標準化
i-Constructionの導入により、寸法等の規格を標準化し、建設部材の拡大へと導く「規格の標準化」に繋げることができます。規格の標準化とは、原材料、建設部材、施工工事会社における組み立て計画などの工事情報を早い段階から共有し、工事計画の効率化を図ることを意味します。従来の建設現場では、現場ごとに材料を一品生産しており、工期や建築物の構造に合わせた最適な部品が生産されていない状況でした。そこでi-Constructionの導入で建設事業プロセスがデータ管理されることで工法、寸法などの規格を標準化させることが可能になります。さらに規格や寸法の標準化によって、それに合わせた材料や組み立て方法が考案されるようになり、材料の大量生産、工法を検討する時間の削減に繋げることができます。
施工時期の標準化
i-Constructionによって建設部材の早期発注が可能となり、年間を通じて工事件数の標準化を行う「施工時期の標準化」を実現します。工事件数を一定の時期に集中させるのではなく標準化させることで人材の効率的な配置が可能になり、従業員の収入、労働時間、休暇を安定化させることができます。
i-Constructionを推進する背景
i-Constructionが推進される背景には少子高齢化、若年層の労働者不足、生産性の問題などさまざまな理由があります。本項目では、国土交通省がi-Constructionを推進する背景について具体的に紹介します。
少子高齢化に伴う技能労働者の不足
建設業は少子高齢化に伴い、技能労働者が不足しており、長期的な建設業の体制構築が課題となっています。総務省統計局によると、令和元年12月では建設業の就業者は488万人となっており、平成9年の685万人から約29%ほど減少しています。調査、測量、設計、施工、検査、維持管理、更新など建設業をICT化させることで、全ての建設プロセスを省力化できるようになり、従来より少人数、少ない工数で工事の施工が可能となり、労働者不足問題の解決に繋げることができます。
3Kのイメージによる若年層の採用の難航
建設業は「きつい・汚い・危険」の頭文字「K」3つを取った3Kのイメージにより、現場の若年従事者の採用が難航しています。総務省統計局によると、令和元年12月では建設業就業者の55歳以上が3万人増加している一方、29歳以下が約1万人減少するなど若年層の建設業離れが進んでいます。建設業にi-Constructionを導入することで、調査、測量、検査などの危険な作業をロボット、ドローンなどに代用させることが可能となります。さらに施工時には不整地走行、または重い荷物を人ではなくロボットが運搬を行うことで労働負担を大きく軽減させ、若年層による就業者不足問題の解消に繋げることができます。
他業界と比較した労働生産性
建設業は、他業界と比較して重い荷物の運搬や危険な作業が多く、仕事の効率が悪くなりやすいことから業界全体で労働生産性が低い傾向にあるとされています。労働生産性とは、従業員一人当たりの労働効率をあらわす指標のことであり、建設業は業務の辛さ、仕事の効率の悪さから低くなる傾向があります。i-Constructionの導入によりこれまで人の手で行われてきた危険な作業、重い荷物の運搬などを機械やロボットに代替できるので労働生産性を大きくアップさせることが可能となります。
未来投資会議での提案
i-Constructionの取り組みが進んだ理由には、未来投資会議において建設現場の「i-Construction」化を普及するという提案があげられた背景にあります。安部元総理は2018年9月12日、総理大臣官邸にて第一回未来投資会議を開催し、以下のような提案を行いました。
- ・2025年までに、建設現場の生産性を20%向上させる。
- ・今から3年以内に建設現場の「i-Construction」化を普及する。
しかし、大手企業の下請けである中小企業が多い建設業界では、「i-Construction」に取り組むための資金が足りない可能性があります。そこで政府は未来投資会議での提案による具体的施策の一つとして、「i-Construction(ICT施工)の導入に関する補助金」という資金援助の設定を行いました。資金援助を国から行うことで、資金の少ない中小企業でも「i-Construction」の導入がしやすくなり、建設業の生産性を高めることが可能となります。
i-Constructionを導入するメリット
i-Constructionを建設業に導入すると、どのようなメリットを得られるのでしょうか?本項目では、i-Constructionを導入するメリットについて紹介します。
生産性の向上
建設現場にi-Constructionを導入することで業務効率化ができるようになり、生産性の向上につなげることができます。「生産性の向上」とは、経営に投資する資源を最低限におさえた上で多くの成果を上げることを意味します。ICTの現場導入によって調査、設計、施工、検査、維持管理、更新など建設事業全てのプロセスを機械やデータによって管理が可能となり、工数、人員コストの削減に役立てることができます。
人手不足の解消
ICTの現場導入を行うことで調査、測量、設計、施工、検査、維持管理、更新などの作業を軽減し、人手不足問題を解消させることができます。i-Constructionの導入により業務の業務効率化、生産性向上が実現すれば、作業に必要な人員を削減させることが可能となり、少人数でも作業できるようになります。さらに重い荷物の運搬、測量など危険な作業を機械に代替させることで建設業の労働イメージが良い方向に改善され、建設業界で働きたいと考える若者が増えるきっかけ作りにも貢献します。
建設業における「3K」のイメージ払拭
建設業界にi-Constructionを導入することにより、これまで人の手で行われてきた作業を機会に代替させることができ、建設業における「きつい・危険・汚い」といった3kのイメージを払拭させることができます。建設業界では高所作業や重い荷物を運搬するなど危険な作業が多いイメージがありますが、ドローンやCIMなどを活用した3次元測量、3次元データ設計図、ICT建機を取り入れることで就業者の労働負担を軽減し、建設業界全体のイメージアップに繋げることができます。
建設現場でi-Constructionを導入するならSUPPOTがおすすめ
建設現場でi-Constructionを導入するなら、建設現場向け作業支援ロボットレンタルサービス「SUPPOT」がおすすめです。SUPPOTとは、建設現場の資材運搬作業をサポートする作業支援ロボットをレンタルできるサービスです。
「SUPPOT」で使用できる作業支援ロボットは悪路や傾斜などの不整地走行を得意としており、なおかつ簡単な操作で遠隔操縦ができる仕様となっているので、人手不足が進む建設現場での利用に最適です。さらにロボットは最大で100kgまで積載可能であり、建設資材の運搬に使用することで人間の筋肉に大きな負担を与える重筋作業を削減します。
「SUPPOT」の導入により現場での資材運搬作業の自動化が可能となり、建設現場でのi-Construction活動を促進します。

まとめ
i-Constructionとは、建築業界全体を改善するための取り組みであり、導入することで業務効率化、生産性の向上など建設生産システム全体の生産性を向上させることが可能です。
ただし中小企業の多い建設業界では、i-Constructionを導入する費用が足りないケースも多くなり、政府の施策である「i-Construction(ICT施工)の導入に関する補助金」を利用しなければならない企業も多くなります。
そこでおすすめなのが、作業支援ロボット「SUPPOT」レンタルサービスの利用です。SUPPOTは1ヶ月からレンタル可能なサービスなので、初期費用もかからず無駄なく利用することが可能です。さらにレンタル利用後は電話サポート、保険付帯、故障時即代替対応などのサポートを受けられるので、ロボット初心者の方でも安心して利用できます。
SUPPOTの導入により重い荷物の運搬作業を削減できるため、人件費や労働コストの軽減、生産性の向上などに繋げることができます。SUPPOTの利用を検討されている方は、ぜひ運営会社であるソミックトランスフォーメーションへお問い合わせください。
参考文献
『労働力調査 (基本集計)』総務省統計局(2022) https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/pdf/gaiyou.pdf
『第1回未来投資会議「未来投資会議の開催について、建設業の未来投資と課題」』首相官邸(2016)https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/index.html