近年ではIT開発に伴い、さまざまな業界においてDX(デジタルトランスフォーメーション)の導入が進められています。とくに労働者の高齢化、人手不足問題をかかえている建設業界では、デジタル技術の導入によりビジネス変革を促すDXに注目が集まっています。
建設現場にDXを導入することで、作業を機械に代替させることが可能となり、業務改善や人手不足問題の解消などに役立てることができます。本記事では建設DX、DXの意味や、建設DX導入の背景を踏まえた上で、建設DXで取り上げられているデジタル技術について具体的に紹介します。
建設DXとは
建設DXとは、AI、ICT、IoT等のデジタル技術の活用により業務プロセスを変革し、建設生産プロセス全体の最適化を目指すことを意味します。
建設産業では、頻発する自然災害、高度経済成長期に建築したインフラ老朽化に伴う修繕作業を長期的に行う必要が求められている一方、若手従業員の不足など人手不足問題を抱えています。そこで建設業界にデジタル技術を導入させることで、機械やロボットに作業や技術を代替、情報共有のスムーズ化が可能となり、業務効率化、労働の省人化に役立てることができます。
さらにデジタル技術を設計に取り入れることで、測量データや設計図面などから3次元モデルを作成できるようになり、設計作業をスムーズに行うことが可能です。立体的な画像をリモート上でも視覚的に確認できるようになるので、作業前の確認を迅速に行えるようになります。

DXとは
DXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略であり、日本語に訳すと「デジタル変革」を意味します。AI、ICT、IoT等のデジタル技術を効果的に活用することで、業務、活動、仕事内容や仕組みを構造的に再構築していくことをあらわしています。
企業がAI、IoT、ビッグデータなどのデジタル技術を企業が用いることにより、これまで人の手で行われてきた作業を機械に代替させることが可能となり、業務フローの改善に役立てることができるようになります。
建設DX導入の背景
建設DXを現場、職場に取り入れることで、業務の効率化、省人化、ノウハウの継承に役立ち、建設業界の課題解決が可能となります。
とくに建設業界では2019年に施行された働き方改革関連法における特例処置(時間外労働の月上限45時間に対し、5年の猶予期間)の期限である2024年がすでに近づいており、労働時間を短縮させるための業務効率化などの課題を抱えています。本項目では、建設業界にDXが進められる背景について具体的に解説します。
人材不足
建設業界の仕事は「きつい、汚い、危険」の3Kのイメージを抱えていることから就職したいという若者が少なく、人手不足問題を抱えています。建設業界をDX化させることで、これまで人の手で行われてきた作業を機械、ロボットに代替できるようになり、省人化を図ることができます。たとえば、建設現場においてロボット、ドローンによる重機の遠隔操作を導入すれば、破砕、掘削、運搬、設置などの作業を機械に代替でき、さらに複数機械の操作も可能となるので省人化に役立ちます。さらに作業を機械が担うことで作業負担を軽減させ、残業時間削減、作業員のストレス削減など、作業環境の改善にも貢献します。
技術の継承
建設DXの導入により、熟練技術者の技術、記録がデータとして残せるようになり、技術の継承をスムーズに行うことができます。建設業界では、技術やノウハウを持つ熟練技術者の高齢化が懸念されています。そこで建設業界にDXの活用を進めることで、熟練技術者の技術や判断データを社内共有させることができるようになるので、直接指導を受けなくともノウハウを若手従業員に継承させることが可能となります。
生産性の向上
建設業界に建設DXを進めることで、建設時の計画・調査・設計・施工・維持管理などのプロセスにおける情報共有をスムーズに行うことができるようになり、生産性の向上に役立てることができます。また、建設業界は長時間労働、手作業が多い現場を多く抱えており、さらに人材不足が原因で適切なリソースの配置が難しいことから、作業効率、生産性の低下が起きやすいなどの問題を抱えています。そこで建設業界に機械、ロボットなどの技術を駆使するDX化を行うことで、これまで手作業で行われてきた作業をロボットや機械に負担させることができ、作業効率や生産性の向上に貢献します。
行政が推進する「i-Construction」の違いとは?
建設DXに類似した内容のひとつに、国交省が推進している生産性革命プロジェクト「i-Construction」があります。i-Constructionとは、建築業界全体を改善するための取り組みのことであり、導入によって業務効率化、生産性の向上など建設生産システム全体の生産性を向上させることを目標としています。
i-Construction、建設DXいずれもデジタル技術の活用による安全性、生産性向上を目指すという意味合いがありますが、建設DXはi-Construction(ICT、BIM/CIM)の上位概念の内容となっています。
たとえばi-Constructionでは「2025年までに建設現場の生産性2割向上を目指す」という目標であるのに対し、建設DXの代表的な技術「BIM/CIM」では、「2023年度までに小規模工事を除くすべての公共工事で原則適用」というキーワードが掲げられており、建設DXの目標の方がやや近い上に原則適用を求められているので、より導入が進められている傾向にあります。
建設DXで取り上げられているデジタル技術とは
建設業界にデジタル技術を取り入れる「建設DX」によって業務や組織に変革をもたらすことで、業務効率化、生産性向上、省人化に繋げることができ、さまざまな課題を解決させることが可能となります。
また、2020年4月には国土交通省より「2023年までに、小規模を除く全ての公共事業にBIM/CIMを原則適応させる」との発表があり、デジタル技術「BIM/CIM」への注目も集まっています。建設業界で導入が進められているBIM/CIMなど、建設DXで取り上げられているデジタル技術について具体的に紹介します。
BIM/CIM
BIM/CIM(ビム/シム)とは、建物や構造物を立体的な画像で示すことのできるデジタル技術のことです。BIMとは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)の略称であり、建物の3Dモデルをベースに設計ができるソフトウェアのことです。CIMとはConstruction Information Modeling/Management(コンストラクション インフォメーション モデリング/マネージメント)の略であり、建設業務の効率化を目的とする取り組みのことを意味します。過去には土木分野においてBIM、CIMとそれぞれの言葉で使用されていましたが、2018年5月から国土交通省の定めにより「BIM/CIM」という名称に変更しています。BIM/CIMの技術を建設業界に導入させることで、オンライン上で立体的画像による確認が可能となり、打ち合わせや意思決定を迅速に行うことができるようになり、取引やコミュニケーションに費やす時間の短縮に繋げることができます。

クラウド
建設業でクラウドサービスを使用することで、本社、現場など離れた場所での情報共有がスムーズに行えるようになります。クラウドとは、インターネット上の仮想サーバーを通じてリソースを利用できるサービスです。クラウドを使用することでインターネット環境さえあれば、どこでも情報共有やリソースを利用できるので、遠方同士の従業員がリアルタイムで工事状況の共有、指示、進捗確認が可能となります。
5G
5G(ファイブジー)を建設業界に導入することで、遠隔からの機械操作、複数機械の取り扱いが可能となり、従業員の省力化・生産性向上に活かすことが可能となります。5Gとは「第5世代移動通信システム」の略称であり、次世代移動通信規格のことです。5Gは高速で大容量の通信ができる上に、通信の遅延防止、多数の機器に同時に接続可能なため、機械導入をより飛躍的に推し進めることができます。
AI
AIを建設業界に導入することで、機械学習したAIによって情報処理・作業が可能となり、省人化に役立てることができます。AIとは、Artificial Intelligence(人工知能)の略称であり、機械学習させることで人の作業をAIに代替させることができるようになります。たとえば、建設現場でAIを使用した例では、工事の進捗状況を画像によって判定するAI分析システムがあります。画像によるAI分析システムを導入することで、これまで技術者が判断してきた確認作業を機械に代替させることができます。
建設DXに取り掛かるなら自立走行ロボットのSUPPOTがおすすめ
建設現場で建設DXの導入に取り掛かるなら、建設現場向け作業支援ロボットレンタルサービス「SUPPOT」がおすすめです。SUPPOTとは、建設現場の資材運搬作業サポートを行う作業支援ロボットをレンタルできるサブスクリプションサービスです。
「SUPPOT」で使用できる作業支援ロボットは、簡単な操作で遠隔操縦ができる仕様となっており、人手不足などの課題を抱えている建設現場での利用に適しています。
さらにSUPPOTのロボットは最大で100kgまで積載可能な上に、悪路、傾斜などの不整地走行を得意としており、建設業の現場に使用することで労働負担を大幅に軽減させます。
「SUPPOT」の導入により現場での資材運搬作業の自動化、業務効率化が可能となり、建設現場での建設DX化に役立ちます。

まとめ
建設DXとは、建築業界にデジタル技術を取り入れることで、業務全体の改善や建設生産プロセス全体の最適化を目指す取り組みのことです。AI、ICT、IoT等のデジタル技術による建設DXの導入により作業を機械、ロボットに代替させることが可能となり、業務効率化、生産性の向上に役立ちます。
ただしAI、ICT、IoT等のシステム導入にはコストがかかり、地方企業、中小企業が多い建設業界では導入費用が足りないケースも多いのが現状です。そこでおすすめなのが、作業支援ロボット「SUPPOT」レンタルサービスの利用です。SUPPOTは1ヶ月からレンタル可能なサービスなので、初期費用不要で導入コストを抑えられます。また、レンタル利用後は電話サポート、保険付帯、故障時即代替対応などのサポートを受けられるので、ロボット初心者の方の利用も安心です。
SUPPOTの導入によりこれまで人の手で行われてきた資材運搬を大幅に削減できるようになり、人件費、労働コストの軽減、業務効率化、生産性向上などに役立てることができます。SUPPOTの利用を検討されている方は、ぜひ運営会社であるソミックトランスフォーメーションへお問い合わせくださいませ。
参考文献
『i-Construction』国土交通省 https://www.mlit.go.jp/tec/i-construction/index.html
『i-Construction ~建設現場の生産性革命~』国土交通省https://www.mlit.go.jp/common/001137123.pdf
『働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~』厚生労働省(2019)https://www.mhlw.go.jp/content/000474499.pdf