近年では、国土交通省が「ブルドーザー、モーターグレーダー、油圧ショベルなどの建機のICT化を目指す」と提唱していることから、建設業界においてICT建機の普及が徐々に進められています。建設機械をICT化させることで人の手で行われてきた作業を機械やロボットに代替できることから、生産性、業務効率の向上に役立てることができます。さらに情報通信技術を通じて測量を行うことで、データを元に座標を検測出来るので、精度の高い測量が実現可能です。
ICT建機には、操縦システムによって「マシンコントロール(MC)」、「マシンガイダンス(MG)」の2種類に分けられますが、制御機能についてそれぞれ特徴やメリット・デメリットなどの違いがあるので、目的に合わせて利用する必要があります。
本記事では、ICT建機の意味、種類または種類別のメリット・デメリットを踏まえた上で、ICT建機の導入メリットについて詳しく解説します。
ICT建機とは
ICT建機とは、建設工事業務の効率化、生産性向上などを目的に導入された重機のことです。ICT(アイシーティー)とは、「Information and Communication Technology」の略称であり、情報通信技術を意味します。
ICT建機では測量などに情報通信技術を用いることで、2D・3Dの設計データを基に座標を検測することが可能となります。情報化施工は3次元データをベースに行うため、3次元測量を行うために必要なトータルステーション(TS)、GNSS機器が必要となります。また、現場によってはドローンを活用することもあります。
情報通信技術で各生産工程から得られた情報は、調査、設計、施工、検査、維持管理、更新作業などの作業プロセスに利活用することで工事全体の効率化、精度や生産性の向上、品質の確保などに役立てることができます。

ICT建機の種類
ICT建機には「マシンコントロール(MC)」、「マシンガイダンス(MG)」の2種類があり、それぞれ重機の制御機能に違いがあります。建機の種類別の内容、機能について紹介します。
マシンコントロール
マシンコントロールは、自動運転で建機をコントロールする技術のことです。マシンコントロールには自動制御システムがついており、事前に設計数値を入力することで建機の制御を行うことができます。適用可能な建機は、主に以下の通りとなります。
- ・ブルドーザー
- ・モーターグレーダー
- ・油圧ショベル
マシンコントロールでは、地上で位置計測する「自動追尾式トータルステーション」(TS)、人工衛星による位置計測であるGNSSといった測位技術で建機の位置を正確に計測し、情報をオペレーターに送ります。オペレーターは届いた情報をタブレット端末等でチェックすることで、設計のデータと実際の位置の間に起きる誤差を確認できます。
マシンガイダンス
マシンガイダンスはTS、GNSSなどの測位技術で取得した位置情報から、建機の操縦を行う機能のことです。マシンコントロールには必要に応じてオペレーターが操縦を行う必要があるのに対し、マシンガイダンスは、オペレーターが自らの手で操縦を行う必要があります。自動運転適用可能な建機は、主に以下の通りとなります。
- ・ブルドーザー
- ・油圧ショベル
マシンガイダンスでは測位技術によって施工建機の位置を計測し、その情報をオペレーターへ送信します。さらにオペレーターに届いた位置情報はICT建機内のPCにて、設計データと実際の位置との誤差距離を確認できます。
マシンコントロールのメリット・デメリット
マシンコントロールには自動制御システムがついているため、事前に設計数値を入力しておけば操作技術の低いオペレーターでも難しい作業、仕上げができるなどのメリットがあります。たとえばブルドーザーであれば、事前に設計数値を入力しておくことで、こちらから操作しなくても排土板が自動制御されます。
その一方、マシンコントロールでは設計ラインから外れた操作を行おうとすると自動的に重機の動きが制止してしまうため、設計ライン以外の作業ができないのが難点です。またマシンコントロールはマシンガイダンスと比較すると高額なため、専用の機器購入に限らず、既存の機器への取り付けであってもコスト面が高くなるデメリットがあります。
マシンガイダンスのメリット・デメリット
マシンガイダンスは既存の建機に取り付けられる上に、導入費用が割安なのでコスト面を抑えられるメリットがあります。また、オペレーターが自分で建機を操作する必要があるため、オペレーターの腕が落ちにくい面もメリットと言えるでしょう。
ただしマシンガイダンスは地上で位置計測する自動追尾式トータルステーション、GNSSからの情報によって作動するため、それらの位置情報が届かない場合は活用できないというデメリットがあります。
ICT建機導入のメリット
ICT建機を導入することで生産性向上、業務効率化が進み、コスト削減や工期短縮などに役立てることができます。本項目では、ICT建機導入におけるメリットについて具体的に紹介します。
工期の短縮
建設業界にICT建機を導入することで、作業の効率化が進み工期を短縮させることができます。たとえば、これまで測量に1週間ほどかかっていた測量業務も、ドローンやCIMなどを活用した3次元測量導入を行えば数百万地点の測量を数十分ほどで完了できるようになり、工期の短縮が可能となります。ドローンなどのICT建機を導入することで、作業の時間短縮が可能となり、請け負える現場数を増やせるようになります。
人件費等のコスト削減
ICT建機の導入により、従来まで人の手で行われてきた作業を機械に代替できるようになり、人件費などのコストを大幅に削減することが可能です。ICT建機を利用することで、設計から検測といった一連の作業を繰り返す丁張、検測を行う作業員や、資材運搬を行う作業員が不要となり、人件費を抑えることができます。
安全性向上
重い荷物の運搬、測量など危険な作業をICT建機に代替させることで安全性が向上し、事故の削減などに役立てることができます。また、危険な作業を機械へ代替させることで、建設業界で働きたいと考える若者が増えるきっかけ作りにも役立ち、重労働の多い建設業界が抱えがちな労働者不足問題の解消にも繋がります。
施工精度の向上
従来の建設業では測量時の座標計算を図面情報に基づいて行なっていましたが、ICT建機によって2D・3Dの設計データを基に正確な座標を検測できるようになり、施工精度の向上が期待できます。さらに自動制御が可能なICT建機の導入により、経験の浅いオペレーターでも一定レベルの施工品質を保てるようになります。

建設現場の資材運搬ならSUPPOTがおすすめ
建設現場での資材運搬なら、建設現場向け作業支援ロボットレンタルサービス「SUPPOT」がおすすめです。
SUPPOTとは、建設現場の資材運搬作業をサポートする作業支援ロボットを1ヶ月からレンタルできるサービスです。SUPPOTのロボットは簡単な操作で遠隔操縦ができるため、経験の浅いオペレーター、ロボット未経験者の方でも安心して利用できます。
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まとめ
建設機械をICT化させることで作業を機械やロボットに代替させることができ、業務効率化、生産性の向上などに役立てることができます。ただしICT建機によっては価格が高額なものもあり、とくに中小企業の多い建設業界では、導入費用が足りないケースも少なくありません。
そこでおすすめなのが、作業支援ロボット「SUPPOT」のレンタルサービスです。SUPPOTは建設資材を運搬するロボットのレンタルサービスなので、初期費用もかからずコストを抑えての利用が可能です。SUPPOTは最大で100kgまで積載可能なため、建設現場に導入することで労働者の負担を大幅に削減します。さらにこれまで人の手で行われてきた運搬作業をロボットに代替できるので、人件費や労働コストの軽減にも繋げることができます。
また、レンタル利用後は電話サポート、保険付帯、故障時即代替対応などのサポートも受けられるので誰でも安心して利用できます。SUPPOTの利用を検討されている方は、運営会社であるソミックトランスフォーメーションへお問い合わせくださいませ。
参考文献
『i-Construction ~建設現場の生産性革命~』国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001137123.pdf
『建設業界の現状とこれまでの取組』国土交通省(2019)https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001314888.pdf