建設業では、急速にドローンの活用が進んでおり、幅広いシーンで活躍しています。国土交通省が進める建設業界の生産性向上施策である「i-Construction」においても、ドローンの活用は重要な取り組みの1つです。
本記事では、建設業で活躍するドローンについて紹介します。ドローンの概要や役割、ドローンの活用が進む背景にある業界の課題なども解説するので、ぜひご一読ください。
建設業界の抱える課題
建設業界は慢性的に高齢化や人材不足といった課題を抱えています。高度成長期やバブル期に建てられた建物の老朽による維持管理や再建需要、大阪万博やリニア中央新幹線などの大規模建設により、今後の建設業界は大きな需要が見込まれます。現状が続くと、大きな需給ギャップが生まれてしまうため、課題解決は急務です。
本項目では、建設業界の抱える主な課題として、「高齢化と人材不足」「長時間労働」「危険の伴う現場」について、詳しく解説します。
高齢化と人材不足
建設業界では高齢化と人材不足が深刻な課題です。国土交通省の「建設業及び建設工事従事者の現状」によると、建設業就業者は2021年には55歳以上が約35%、29歳以下が12%となり、全産業と比べ高齢化が著しく高くなっています。さらに、10年後には現在60歳以上の労働者が大量離職となる見通しです。このまま高齢化と人材不足が改善されないと労働力不足が深刻化し、さらに次世代への技術継承に支障をきたすおそれがあります。
長時間労働

長時間労働も建設業界の課題として挙げられます。厚生労働省のまとめた「毎月勤労統計調査 令和4年分結果確報」によると、建設業の月間実労働時間は163.5時間、月間出勤日数は20.0日。調査産業計の月間実労働時間136.1時間、月間出勤日数17.6日と比較すると、27.4時間、2.4日多い結果です。12ヶ月分で計算すると、328.8時間、28.8日多いことになります。このような長時間労働は、建設現場において週休二日がまだ十分に定着していないことが原因と考えられています。長時間労働の常態化は従業員の疲労蓄積や怪我、若年入職者獲得の難しさにつながるでしょう。
危険の伴う現場
建設業界では、足場が悪く危険な場所での作業が多いこと、重機や危険な器具を扱う作業が多いことなどがあり、他産業に比べて労働災害が多い傾向にあります。建設業労働災害防止協会(健災防)によると、令和3年の労働災害による死傷者は1万6,079人、死亡者は288人です。全産業の死傷者が14万9,918人、死亡者が867人のため、建設業は全産業のうち、死傷者の10.7%、死亡者の33.2%を占めていることになります。総務省統計局の「令和3年労働力調査年報」によると、主な産業別就業者数・雇用者数のうち建設業の割合は約7.2%のため、建設業の労働現場の危険性は高いと言えるでしょう。
建設業界におけるドローンの役割(メリット)
建設業界の課題を見てきましたが、ドローンは上記の課題に対して有効な解決策の1つとして期待されています。既に建設現場に導入している企業も多く、その活用方法はさまざまです。
本項目ではドローンの概要や建設現場において、どのように活用されているのかを解説します。
ドローンとは
ドローンとは、「無人航空機」の総称。遠隔操作や自動制御により飛行できる航空機のことです。トイドローンと呼ばれる娯楽用から産業用、軍事用まで、さまざまな用途でドローンが活用されています。メディアや農業、物流などの業界で、ドローンの導入も活発に行われており、建設業界も同様です。建設現場でのドローン活用については、「i-Construction」の3つの柱の1つ「ICT技術の全面的な活用(土木)」の中で代表例として挙げられており、施工管理や測量などで活用されています。
施工管理
ドローンの活用方法として挙げられるのが「施工管理」です。ドローンを活用すれば、高層ビルをはじめ、ダムやトンネル、橋梁など大規模工事の進捗状況を容易に確認できます。従来であれば、状況確認のために現場を訪れる必要がありました。そのため、施工管理者や現場監督が大規模な現場や複数の現場を担当している場合、現場確認のために多くの時間を取られてしまいます。ドローンを活用すれば撮影画像を確認することで、現場の状況を確認可能。移動時間を大幅に削減できるため、負担を大きく減らせます。
測量

測量でもドローンが活用されています。大規模な建築現場の場合、土木工事前の測量が義務。従来であれば、地上で測量機器を用いて測量する必要があり、多くの時間や労力が必要でした。ですが、ドローンを活用し、上空から建設現場を撮影した写真を解析すれば、短時間で高精度な測量が可能です。人力での測量と比べて、人員も削減できるので、人材不足の解消につながります。また、ドローンであれば危険な場所に入り込んでの測量も可能なため、現場での事故を減らせることもメリットです。
点検・メンテナンス
ドローンは建物の点検やメンテナンスにも活用されています。ドローンで撮影することで、地上から建物を撮影し、データの確認が可能です。従来なら、人間が目視をするために外壁や屋根を点検する際に、はしごを掛けたり足場を組んだりしていました。このような作業は多大な時間を要する上、事故の危険もあります。ドローンを活用すれば、空中を自由に移動し、建物を撮影できるので、短時間で危険もなく作業を行えます。足場を組む必要がない分、人員や経費なども削減可能。短時間で行える分、1日あたりの件数を増やせるため、生産性向上も期待できます。
現場の作業者をサポートするロボットを導入するならSUPPOTがおすすめ
建設現場で、作業支援ロボットを導入するなら「SUPPOT」がおすすめです。
SUPPOTは、建設現場の資材運搬作業をサポートする作業支援ロボットをレンタルできるサービスです。SUPPOTでは遠隔操縦と作業者の自動追従や2D自動運転、最大100kgまでの重量物積載、悪路・傾斜の走行などが可能なロボットが用意されています。レンタルなので、購入よりも低コストで導入できる点も魅力です。
たとえば、コンクリート運搬をロボットで行うことにより、作業負担軽減と安全性向上、作業効率向上を実現した事例や照明器具を積載したロボットを作業者に自動追従させ、点検業務の効率化・省人化を実現した事例などがあります。建設現場での資材運搬の効率化や作業者の負担軽減、安全性向上などにお悩みの方は、作業支援ロボットレンタルサービス「SUPPOT」の導入をご検討ください。

まとめ
建設現場におけるドローンについて紹介しました。国土交通省が推進する「i-Construction」への取り組みもあり、建設業界ではドローンの活用が進んでいます。ドローンの活用は、建設業界の課題である人材不足や長時間労働、危険な現場での作業に対して有効な取り組みと言えるでしょう。
とはいえ、ドローンの導入には初期投資や専門的な知識、技能が必要です。「DXに取り組みたいものの、ドローンの導入はハードルが高い」という場合は、簡単な作業からでも、ロボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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SUPPOTの導入により重い荷物の運搬作業を削減できるため、人件費や労働コストの軽減、生産性の向上などに繋げることができます。SUPPOTの利用を検討されている方は、ぜひ運営会社であるソミックトランスフォーメーションへお問い合わせください。
参考文献
一般社団法人全国無人航空機飛行技能適正評価監視機構https://www.javoa.or.jp/case/construction.php
国土交通省『i-Constructionの生産性革命~』hhttps://www.mlit.go.jp/common/001137123.pdf
建設労働|建設業の現状|日本建設業連合会https://www.nikkenren.com/publication/handbook/chart6-4/index.html